本の紹介
ボルヘスが言う「すべての文学ジャンルの中で最も古くて複雑なジャンルをつくり上げている」もの――夢(『夢の本』序文)。本書では、古今の幻想と怪奇の物語から、夢と悪夢を描いたものを集めた。
ギリシャ神話の神々に招かれ、ホメロスはじめ偉大な詩人たちと邂逅する夢。インドの修行僧となり苦行に堪える夢。果てしないチェスの対局や、猫を連れた少女に誘われて踏み込んだ妖精郷での冒険。目覚めの世界を侵食する悪夢。そして、見たままに夢を書き記す小説家の作品も。
種村季弘の未発表翻訳作品から、英国幻想文学大賞受賞作まで。冊中さらにアンソロジーを収めた、小さな夢想の文書館が、開館の時間を迎えました。