シリーズ名:モーニングスターブックス
巻数:2
著者:佐崎 一路
イラスト:希望 つばめ
定価:本体1,200円(税別)
四六 324ページ
ISBN 978-4-7753-1829-4
発行年月日:2021年02月04日
在庫:品切れ
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本の紹介
ポンコツ殺戮人形の異世界旅は継続中!? なの!
ツッコミどころ満載! 異世界超常コメディー、物騒さ大増量の第2弾!!
アパートの地縛霊を自称する幻覚に話しかけられながら、相変わらずな日々を送っている大学生の『俺』。
『俺』をターゲットにしていたはずが、なぜか途中で異世界へ飛ばされたメリーさんとのスマホ経由でのやり取りも、不本意ながら継続中だ。メリーさんによると、今度は王立幼稚園で潜入捜査をするらしい。一方、夏休みに入り、久しぶりに田舎の実家へ帰ることにした『俺』は、なんの因果か列車ジャック強奪事件に遭遇して──。
異世界と埼玉で繰り広げられる珍騒動と、次々登場する怪しい存在たち。圧倒的虚構(ネタ)の連打でお届けする、佐崎一路の異世界超常コメディー!
メリーさんからイニャスを経由してジリオラ公女に渡された孫の手が、思いっ切り床の上に叩きつけられた。
それから改めて渡された鉛筆で、ジリオラ公女はスラスラとプリントの裏に文字を書き始める。
【青い空】
『おーーーっ、凄いねー、ジリオラ』
『さすがですわ、ジリオラ公女殿下(プ リンセス・ジリオラ)』
パチパチと拍手をするイニャスと、すかさず追従(ヨイショ)するミセス・グロリア。
『ふふん。どう? あなたにできて?』
『簡単なの。メリーさんにお任せなの……』
対抗して、メリーさんも書く。
【殺戮】【鏖殺】【殲滅】
『凄ーーーい?』と、イニャス。
『ぐぬぬぬぬ……』と、歯噛みをするジリオラ公女。
「……いや、確かに凄いけど、なんでどれもこれも剣呑な漢字ばかりチョイスするんだ? もう
ちょっと空気を読めや!」
『む。ちゃんとほかの漢字も書けるの……』
【 薔薇】
「ほう……」
『あたしメリーさん。ところで、なんか妙にそっちの背後がうるさいけど、祭りでもあるの……?』
どうやらこちらの騒ぎが、異世界(あちら)側にも届いてしまっているらしい。
俺は改めてロータリーの騒ぎを確認すると、無関係な顔で自分のスマホ画面を開いて見ている女性看護師(ナース)さんに尋ねた。
「──いや、あの……いいんですか?」
ちょっとした公園ほどもあるロータリーでは、
「お義兄ちゃ~~ん! 真李が来たよ~~っ!」
「このっこのォ! 邪魔邪魔邪魔邪魔っ?」
「さては、前世からずっと一緒になるって決まっている、私とお義兄ちゃんを引き裂く魔女の下僕ね!」
「お義兄ちゃん、どいて! こいつら殺せない!」
という電波を全開させた義妹が、両手に特殊警棒を構えて、さらには背中から蝙蝠っぽい黒翼と、スカートの下から先端がスペード型に尖った黒い尻尾を垂らして、空中を舞いながら戦っている。