本の紹介
1973年4月、雑誌〈幻想と怪奇〉創刊。当時からすでに幻想文学紹介の先頭に立っていた紀田順一郎・荒俣宏による、文字どおりの「我国最初の幻想怪奇文学研究誌」だった。翌74年10月号の休刊まで12号を発行、1年6ヶ月という短い期間ではあったが、名のみ知られた数々の名作を掲載し、後の幻想文学出版の礎石となった。休刊から45年。ここに〈幻想と怪奇〉掲載作および、評論、コラム、書評を厳選し復刻。寄稿者による書き下ろしエッセイと、〈幻想と怪奇〉の前身と言うべき幻の同人 誌〈THE HORROR〉全4号を収録した、幻想文学愛好者必携の一冊。
□序文
『幻想と怪奇』、なお余命あり 紀田順一郎
『幻想と怪奇』の頃 荒俣宏
《前説》幻の雑誌、ふたたび 牧原勝志
□小説
ジプシー・チーズの呪い A・E・コッパード/鏡明訳
闇なる支配 H・R・ウェイクフィールド/矢沢真訳
運命 W・デ・ラ・メア/紀田順一郎訳
黒弥撒の丘 R・エリス・ロバーツ/桂千穂訳
呪われた部屋 アン・ラドクリフ 安田均訳
降霊術士ハンス・ヴァインラント エルクマン・シャトリアン/秋山和夫訳
夢 メアリ・W・シェリー/八十島薫訳
子供たちの迷路 E・ランゲッサー/條崎良子訳
別棟 アルジャナン・ブラックウッド/隅田たけ子訳
夜窓鬼談 石川鴻斎/琴吹夢外訳
鬼火の館 桂千穂
誕生 山口年子
□評論
人でなしの世界 江戸川乱歩の怪奇小説 紀田順一郎
我が怪奇小説を語る H・P・ラヴクラフト/団精二(荒俣宏)訳
□FANTASTIC GALLERY
挿絵画家アーサー=ラッカム 解説 麻原雄
□評論
日本怪奇劇の展開 ─闇の秩序を求めて─ 落合清彦
閉ざされた庭 ─または児童文学とアダルト・ファンタシィのあいだ─ 荒俣宏
□FANTASTIC GALLERY
囚われし人ピラネージ 解説 麻原雄
□コラム
胡蝶の夢──中華の夢の森へ(1) 草森紳一
地下なる我々の神々 1~4 秋山協介(鏡明)
□ホラー・スクリーン散歩
リチャード・マティスンの激突! 瀬戸川猛資
怪物団 石上三登志
□幻想文学レヴュー
ブラックウッド傑作集 山下武
ベスト・ファンタジー・ストーリィズ 石村一男
M・R・ジェイムズ全集 上 瀬戸川猛資
アーサー・マッケン作品集成 紀田順一郎
□編集後記
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『幻想と怪奇』総目次 牧原勝志・編
□寄稿者エッセイ
誰もやっていないことを──桂千穂インタビュー
『幻想と怪奇』という試みについて。 鏡明
『幻想と怪奇』の頃 安田均
【特別収録】THE HORROR全巻復刻
《解説》平井呈一と“THE HORROR”の思い出 紀田順一郎
THE HORROR