ファンタジー小説やゲームにも登場する武器・防具の起源、用法、歴史を解説した「武器と防具 西洋編」の中から、英名「モーニング・スター」で知られる、「モルゲンステルン」の項を抜粋してご紹介します。
モルゲンステルン morgenstern
形状と用法
モルゲンステルンは、ドイツで誕生したメイスの一種で、中世を通して、騎士や兵士達に最も好まれた武器として知られています。その形状は、柄頭が球形、もしくは円柱、または楕円状になっていて、幾つもの刺が放線状に突き出ています。この種の星球型の頭を持った武器を、よく英名でモーニング・スター(morning star)と呼び、メイスだけに限らず、全ての武器類にあてはめていますが、実際は、メイスの名称なのです。モルゲンステルンの全長はだいたい50~80cmで、重量は2~2.5kg程度です。
歴史と詳細
西欧の騎士達にとって、最もポピュラーなタイプとして愛用されたモルゲンステルンは、ドイツで誕生したもので、その原型は、聖職者が用いた“聖水撒き棒(holy ater sprinkler)”に端を発しているといわれていますが、棍棒の先端に放射線状に刺をつけることは、かなり古くから行われていたようですから、その種の説が本当であるかどうかは定かではありません。
中世に入って、メイスが再び脚光を浴びた、13、4世紀において、騎士達の全盛期でもあったドイツにこのモルゲンステルンは誕生しました。その効果は、鎧を着た兵士にとても有効であったことから、ヨーロッパ中に広まっていき、16世紀には、騎士達の最もポピュラーな武器の一つとして数えられるようになりました。
「武器と防具 西洋編」にはモルゲンステルンだけでなく、多くの武器や、鎧をはじめとした防具が紹介されています。