本の紹介

鎌倉武士のスポーツ

「でもスポーツって言われると、ちょっと違うね。スポーツなんだろうけど」と、ジブリの宮崎駿監督が「あとがき」で一言。

まさにその通り「スポーツ流鏑馬(やぶさめ)」はスポーツを超えたスポーツである。そもそも絶滅寸前の和種馬を救い、消滅寸前の和式馬術を復興させる文化活動なのである。しかし馬を馳せ、的に矢を射ちこんだ時の爽快感、高揚感はスポーツそのもの。しかも的が近いので弓道よりも簡単。コースが直線なので普通の乗馬よりも簡単。800年前の武家装束をまとい、馬も弓も本物だ。騎射の腕前の良し悪しはともかく「本物の鎌倉武士として」一日を野外で過ごす健康健全なタイムスリップ体験でもある。

本書は馬にも弓にも、触ったことすらない、まったくの初心者を対象に「スポーツ流鏑馬」の始め方と、流鏑馬の歴史、馬術、弓術を数多くの写真を使って詳細に解説している。

目次
馬を馳せ、的中を神に奉じる神事
諸流派、氏子、スポーツ、流鏑馬は三系統

神事ではなく、スポーツとしての流鏑馬とは
的を貫くとは、矢が甲冑を貫くこと。だから刺さらなかったら無効

武家文化の町で見るサムライスポーツ大会
第13回小田原城馬上弓くらべ大会

なにこれ!?　かっこいい!!
お正月番組で覚醒、インターネットでサドルバックにたどり着く

スポーツ流鏑馬を始められる牧場
紅葉台木曽馬牧場・自然に駈歩ができると評判の長い外乗と楽しいくるくる流鏑馬
サドルバック牧場・しっかりしたプログラムのもと大勢で楽しめるスクーリング
吉川牧場・臨機応変のスクーリング、ここにしかない練習プログラムがいっぱい

悍馬思想から良馬思想へ
「俺の馬はスゴイぜ」凶暴な馬に脚で乗るのがサムライ馬術

わたし涙が出てきそう
日本の馬を日本の馬術で「甲州和式馬術探求会」とは

「スポーツ流鏑馬」スタート用具一式
「スポーツ流鏑馬」を始めて、つづけるために必要な用具とは

第1部、騎射、疾走する馬上から矢を放つ

「スポーツ流鏑馬」競技場と競技の概要
流鏑馬競技連盟競技規定による図解/上田信

騎乗での弓の引き方
打起し、引き分け、会、残心で矢を射る

馬場本からの駈歩発進
馬の緊張を高め、抑え、一気に解き放つ

流鏑馬、本走、スタートから一の的への的中まで
手綱はそっと離して、そっと置く

二の的に向かって矢番え
矢番え、的に当てるよりも難しいかも知れない

安全確実に止まれなければ流鏑馬は終わらない
減速から停止へ、止まれの合図は少しづつ

第２部、 弓術、世界でもっとも長大な弓を操る

流鏑馬のための弓射、全体の流れ
矢は常に水平に、弓の弦に対して直角になるよう心がける

弓の握り方「手の内」「取懸け」を知ろう
手の内の良し悪しで、矢の威力や直進性が高まる

弓を大きく押し開くための正面打起し
弓は体の正面へ、顔が弓の間に入る位置

引分け、左右均等に押して引く
的を真っ直ぐに指差し、弓は強く握らない

第３部、馬術、馬上武芸のための乗馬術で駈ける

乗馬の前に、馬と心を通わせて信頼関係を築き上げる
馬は怖がらず、怖がらせず、だけど油断は禁物

馬は鐙で乗り、手綱でコントロールする
乗馬の基本はいかに正しく手綱を握り、鐙を踏むかである

馬への安全な乗り方、降り方
馬はいつ急に動くかもしれない。これを忘れないのが基本

馬の主な歩様三種類、常歩、速歩、駈歩
歩様は脚の扶助、騎乗姿勢でコントロールする

安全で確実な騎射は、まず立ち透かしから
尻を後ろに突き出し、胸を張り、鐙の上に立つ

曲がる時も、止まる時も、まず馬に軽く予告
どんなコントロールでも手綱は緩過ぎず、張り過ぎも禁物

本格的な和式馬術とは
和鞍、和鐙を使った和式馬術による乗馬

流鏑馬の装束
騎乗の射手はどんなかっこうをしていたのか

流鏑馬に雨天中止はありません
弓の雨対策と、より番えやすく、的に刺さりやすい矢を作る

スポーツで生き返る日本伝統の馬文化
日本の馬と馬術を生きた形で保存してゆく「日本和種馬文化研究協会」

全国「スポーツ流鏑馬」競技会開催情報

オールジャパンで流鏑馬を推進したい
十和田で燃え上がった女子力が内閣総理大臣賞を獲得

「やぶなび」全国の流鏑馬保存会、執行団体、愛好者を応援
神事からスポーツまで、日本で開催されているあらゆる流鏑馬の情報を紹介する唯一無二の総合サイト

流鏑馬競技連盟競技規定

騎射競技クラス検定要項

あとがき
そもそも宮崎駿監督のジブリ映画監督引退から始まった