本の紹介
ヨーロッパに広く伝わる伝説の存在――人狼。人と獣のあいだを行き来するものたちは、呪われた怪物なのか、あるいは選ばれて野生の能力を得た者なのか。名のみ高い古典作品『人狼ヴァグナー』をはじめとする英国怪奇小説から、パルプ・フィクションを経て現代の都市伝説にまで脈々とつながる、変身と野生のフォークロアをここに追究する。
■目次:
A Map of Nowhere02:「人狼」のハルツ山 藤原ヨウコウ
人狼映画ポスターギャラリー
《巻頭エッセイ》人狼 野村芳夫
《序文》変身と野生のフォークロア
●中世篇——魔狼の呪い
人狼(『人狼ヴァグナー』第十二章) ジョージ・W・M・レノルズ 夏来健次 訳
《解説》ジョージ・W・M・レノルズと『人狼ヴァグナー』について 夏来健次
狼人間 リーチ・リッチー 森沢くみ子 訳
《エッセイ》黄昏に立つ母は狼 澤村伊智
●異郷篇——野獣への変容
ランニング・ウルフ(新訳) アルジャーノン・ブラックウッド 岩田佳代子 訳
ある探検家の死 H・R・ウェイクフィールド 植草昌実 訳
屋敷の主人 オリヴァー・オニオンズ 高澤真弓 訳
《インタビュー》
菊地秀行インタビュー 銀幕の人狼たち
資料:フィルモグラフィ
●モダンホラー篇——かれらは潜んでいる
魔犬(新訳) フリッツ・ライバー 中村融 訳
ピア! デール・C・ドナルドスン 野村芳夫 訳
闇はもう戻らない ジェイムズ・ブリッシュ 植草昌実 訳
《エッセイ》昼に着るのはドレスがいい 夜にあるのは牙が良い 斜線堂有紀
《ショートショート》
森になる 井上雅彦
老人とオオカミ 安土萌
●現代篇——この街のどこかにも
ゴミ箱をあさる ニーナ・キリキ・ホフマン 田村美佐子 訳
おじいさまの画帳 スティーヴ・ラスニック・テム 圷香織 訳
《資料》
海外人狼小説リスト
《書評》
ミシェル・パストゥロー『図説 ヨーロッパから見た狼の文化史』 植草昌実
澁澤龍彦編『泉鏡花セレクション1 龍蜂集』 朝宮運河
今福龍太『ボルヘス「伝奇集」——迷宮の夢見る虎』 垂野創一郎
垂野創一郎編訳『怪奇骨董翻訳箱』 植草昌実
寄稿者一覧
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