シリーズ名:モーニングスターブックス
巻数:1
著者:田井 ノエル
イラスト:時瀬 こん
定価:本体1,200円(税別)
四六判 324ページ
ISBN 978-4-7753-1800-3
発行年月日:2020年01月20日
在庫:在庫あり
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本の紹介
「小説家になろう」で 話題騒然!
転生8回目の人生、ハッピーエンドのためならなんだってしてみせる!!
美貌の令嬢ルイーゼには前世の記憶がある。その数なんと七人分(しかも全員悪役)。
女子高生、キャバクラ嬢、女詐欺師、極道の女、そこから異世界に転生して高利貸し、海賊、極悪騎士。
毎度なぜか刺殺バッドエンドで生を終えたルイーゼは、今世こそほのぼの平凡ライフを送ろうと決めている。
しかし、エミール王子の教育係に抜擢されたルイーゼは、極度の人見知りで自室に籠りきりのエミールを教育して立派な王子にしようと、うっかり奮闘してしまう。
やがて前世で共に戦った騎士カゾーランとの再会(?)をきっかけに、転生の謎と、ある真実を知ることに!?
「外に出るおつもりは、あるのですね?」
エミールの言葉を拾って、ルイーゼは笑顔を作った。
「わかりましたわ」
ルイーゼは素早く身を翻した。
そして、日光を遮る分厚いカーテンへと手を伸ばす。
「え、ちょ、な、なにを!?」
ルイーゼは、カーテンを思いっきり引く。
明るい陽射しに照らされた部屋の隅で、エミールは口をあんぐりと開けていた。恐怖よりも驚愕という感情が勝っているようだ。
「ま、まぶしい!」
エミールはビクビクと肩を震わせながら、頭を抱えて丸まってしまう。
「な……なに?」
ルイーゼは動かない身体で、小さく問う。すると、純白の制服をまとった男が、こちらを見下ろした。
若草色の瞳に、柔らかな赤毛。鍛えられた筋肉の盛りあがりは、服の上からでもよくわかる。
薔薇園で見た肉体美系壮年と同一人物だった。
まるで、ピンチに駆けつける王子様ではないか。
「ご令嬢、安心なされよ。このエリック・ド・カゾーランが参ったからには、虫一匹逃がしますまい」
男の胸で、飛び立つ天馬の刺繍が輝いている。
はあ……エリック……カゾーラン……。
はあ……ん?
エリック? カゾーラン?
はあ……はあ?
はあッ!?
カゾーランですって!?
ルイーゼは薄れゆく意識の中で、何度も、その名を確認するように叫んだ。声は出なかったが、とにかく、夢中で叫んだ。
わたくし、この方に見覚えがありませんけど!? わたくしの知っているカゾーランと、全然顔が違いますけど!?